本業を持つスモール・ビジネスオーナーと株式投資の話


 

今回のテーマは、本業を持つスモール・ビジネスオーナーと株式投資について。

日本の個別株投資を始めて1年半ほど経ちましたが、純粋に資産形成・運用の経験値が上がってきただけではなく、ビジネス面でも学びが多いです。

私の周りの経営者では、株式投資をしている人が結構います。

「資産形成には関心があるけど、株式投資ってどうなの?」

以前の私はそう思っていました。

が、老後資金の形成を目的にNISA(少額投資非課税制度)を始めるため、昨年5月に証券会社に口座を開設。

NISAでは、現在米国の株価指数型インデックスファンド(S&P500)に年間の非課税枠で投資をしていますが、せっかく口座を開設したということで、昨年から日本の個別株についても投資を始めました。

すると、株式投資は、ビジネス面でも学びになることが多いと気がつきました。

 

学び1 視野が広がる

私が投資をする金額は、現在は1社あたり平均50万円ほど。

小さくはない金額なので、株を買うときは、

  • 会社四季報情報
  • 業績・財務
  • 決算短信
  • 決算説明資料
  • 社長インタビュー動画

などを一とおり確認するようにしています。

去年は16社、今年はこれまで40社ほどの企業の株を売買しているので(常時保有は3~5社)、今まであまり良く知らなかった業界・ビジネスについての知見を広げることができました。

また、株を買うときはタイミングも重要です。

買うタイミングは、個別株の月足・週足・日足のチャートのほか、日経平均や米国株式指数(ダウ、ナスダック)の値動きなどを参考に決めていますが、特に日経平均や米国株式指数は、世界の経済イベント、政治、為替、資源など、様々な要因で動きます。

おのずと、世界情勢に無関心ではいられなくなりました。

すると、自分のビジネスにも良い意味で影響が。

たとえばお客さんとの面談の際に、これまでおよそ自分からは進んで話さなかったような話題で盛り上がったり、意気投合したりすることが増えました。

この歳になって、一気に視野が広がったような(笑)。
なかなか新鮮な気分です。

 

学び2 さまざまなビジネスの擬似体験ができ、想像力が磨かれる

現在、投資先の企業は、業界や規模に縛られずに決めています。

特に今年の日本株は、去年に比べてなかなか利益が出にくい環境が続いていて、特に大きな成長が期待できる小型ベンチャー株の動きがさっぱりで、大手製造業などのいわゆる景気敏感株を中心に買っていました。

が、やはり私が「この会社は面白いな」と思うのは、上場して数年までの小型のベンチャー企業。

上場後、株価が落ち着いた後に、好業績の裏付けで徐々に株価を上げてくる企業に投資するIPOセカンダリー投資が性に合っているようです。

現在、このような企業を数十社ウォッチしていますが、それらのビジネスモデルを見ていると、5年後、10年後の世界を想像させてくれて、本当にワクワクします。

特にYouTubeなどに上がっている社長インタビュー動画を見ると、より具体的なビジョン、成長戦略などを語っていることが多いので参考になります。

そういった企業に投資して、業績を見守ることで、様々なビジネスの疑似体験ができる。

数年後の未来を想像する力が磨かれる。

株式投資にはそんな面白さがあると思います。

 

学び3 リスク管理が鍛えられる

買った株は基本的には中長期で保有することを想定していますが、中には、決算発表後に株価が急落したり、じりじりと株価の下落が止まらなかったりするような銘柄も出てきます。

そのときに大事になってくるのが、売りの判断。

私の経験上、株というのは、下がり始めたらどこまで下がるか分かりません。

昨年、ある巣篭り銘柄の株を買ったのですが、業績絶好調にもかかわらず、買った直後からどんどん株価が下落。
「業績がいいんだからそのうち株価も戻るだろう」と甘い考えでいたのですが、損失は日ごとに大きくなる一方で、売るに売れない塩漬けの状態に。

こうなってしまうと、毎日ため息をついて精神的に辛いうえに、塩漬けでは運用がストップしてしまうので、傷口を広くしてからの損切りを余儀なくされました。

それ以降、どんなに業績が好調でも、

  • 25日移動平均線を3%割ったら売る
  • 購入時の株価から10%下落したら売る

といったルールを徹底するようにしています。

ルールに従って損切り(または利益確定)していますので、基本的に、常時含み益がある銘柄のみを保有する状態になっています。
(その方が精神衛生上も良いです。)

実際のビジネスでも、事業からの撤退や、やらないことを決める際など、どうしても主観的な判断を下してしまいがちです。

そのためにも、「〇〇になったら事業から撤退する」、「〇〇の仕事は受けない」など、客観的なルールを持っていた方が良いと改めて思った次第です。

 

自分よりはるかに能力の高い人たちが経営する企業のオーナーの1人になれるのも、株式投資の魅力ですね。

衆院選と世界の主要経済イベント(FOMCなど)が終わり、そろそろ日本企業の決算発表も一とおり終わります。

11月から12月にかけては、毎年、世界的に株価が上昇するというアノマリー(経験則)があると言われていますが、さて、今年はどうなるのでしょうか?

 

追伸

また、スモールビジネス・オーナーの資産形成・運用に役立ちそうな話があったらお話ししますね。

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西荻窪の経営・起業アドバイザー/財産承継コンサルタント。 「経営の原理原則」をテーマに研究を重ね、これまで数多くのクライアント支援から得た経験と、自らの事業活動による実証を加えたノウハウ・ドゥハウを体系化。 企業経営者、特にスモールビジネス・オーナーの転ばぬ先の杖となり、「経営の原理原則を実践する経営者を増やしてハッピーな世の中を創る」ことを使命とする。 また、「借り入れ時に個人保証を求められる中小企業経営者にとっては会社の財産も個人の財産も一体」との現実、「事業承継にまつわる諸問題」などとも向き合いながら、クライアントの財産承継コンサルティングに取り組む。 「経営と財産は両輪」との信念のもと、クライアントの身近な参謀役(アドバイザー)として日々活動している。 家族は妻と息子と猫(キジトラ雄)。中野(自宅)⇄西荻窪(事務所)を行ったり来たり。