前のめりな人からの起業相談で、手堅いビジネスから始めることをお勧めするワケ
鉾立榮一朗事務所では、会社・法人設立手続きをサポートしています。
その関係で、起業についての相談に乗ることがよくあります。
すでに個人でビジネスをされていて、その延長で法人化をされる方は、その後もビジネスが上手くいっているケースが多いです。
が、中には、初めて聞くような目新しいビジネスを「これから始めたいと思っているんです」と前のめりになって相談される方もいらっしゃいます。
そんな方には、ひと通り話を聞いた後、このようなアドバイスをすることが多いです。
手堅いビジネスで事業を軌道に乗せてからでも遅くはない
ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家から資金を調達し、創業から数年は赤字覚悟で、革新的なアイデアでこれまでになかった新しいサービスを作り出すような企業のことを、スタートアップ企業といいます。
そのようなスタートアップ企業ではなく、スモールビジネスとしてスタートするのであれば、
「まずは、手堅いビジネスから始めて、軌道に乗ってから新しいビジネスにチャレンジされては?」
とアドバイスすることが多いです。
私が考える「手堅いビジネス」とは、すでに世の中にあるビジネスであり、かつ、これまでのキャリアで経験があるビジネスのことです。
すでに世の中にあるビジネスであれば、新たな需要を作り出さなくてもすでにマーケットがあるため、ターゲティングとマーケティングをきちんとやれば結果が出やすくなります。
また、これまでのキャリアで経験があるビジネスであれば、利益構造や取引先の開拓など、勝手がわかっていることが多いため、事業を軌道に乗せるまでの時間が圧倒的に早くなります。
手堅いビジネスから始めて、2~3年で事業が軌道に乗れば、
- 手堅いビジネスで収益を確保しながら、新しいビジネスにチャレンジする
- 手堅いビジネスを人に任せて、自分は新しいビジネスにチャレンジする
- 手堅いビジネスを新しいビジネスに進化させる
など、その後の展開に選択肢が生まれます。
また、手堅いビジネスから得たノウハウを、新しいビジネスに活かすことができます。
厳しい言い方ですが、もし、手堅いビジネスで上手くいかないようなら、新しいビジネスも上手くいかないことがほとんどでしょう。
世の中にない、目新しいビジネスをいきなり始めるのは、スモールビジネスではギャンブルに近いと思います。
夢の実現が先? 選択肢を広げるのが先?
以前、こんな相談を受けました。
相談者は、子ども向けプログラミング教室の先生を個人でやられている方だったのですが、法人を立ち上げてこれからメインでやろうと考えているのは、まったく新しい発想の飲食店への送客ビジネスとのこと。
詳しい内容はここでは話せませんが、
・世の中にない独創的なビジネスモデル
・飲食店を応援したい
・このアイデアを実現するためにはエンジニアが必要
と、自分の夢と、このビジネスへの熱い思いを聞いたところで、なんだかイヤな予感がしてしまいました。
ひと通り話を聞いて、その方には、「まず、子供向けプログラミング教室を人に任せられるようにして、それから法人化を再検討されては」とアドバイスさせてもらいました。
ちなみに、その方は私のアドバイスを「なるほど」と聞いていましたが、その後ご相談に見えることはありませんでした。
その後どうなったのか、、
数年後、選択肢を広げて再び相談にいらっしゃることがあったら、また親身になってアドバイスできればと思います。
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