先が見えない状況でメンタルをコントロールするには?
ほんと、やんなっちゃいますよね。
新型コロナウイルスの件です。
2度目の緊急事態宣言が発出されて、個人でビジネスをされているスモールビジネス・オーナーの中には、本当に厳しい状況におかれている人も多いんじゃないかと思います。
(特に、対面を前提としたサービス業の方)
では、「今のように先が見えない状況で、どのようにメンタルをコントロールすればいいか?」。
今回は、そのヒントが書かれている本をご紹介しようと思います。
『夜と霧』。
オーストリアの精神科医、心理学者のヴィクトール・フランクルが、ナチスの強制収容所経験を綴った本です。
日本では1956年に出版された有名なロングセラーなので、読んだ人も多いと思います。
以下、私が本書を読んで感じたことを紹介しますね。
<目次>
1. 期待を裏切られたことによるショックは大きい
本書のエピソードの中に、次の話があります。
この収容所は1944年のクリスマスと1945年の新年のあいだの週に、かつてないほど大量の死者を出したのだ。これは、医長の見解によると、過酷さを増した労働条件からも、悪化した食糧事情からも、季候の変化からも、あるいは新たにひろまった伝染性の疾患からも説明がつかない。むしろこの大量死の原因は、多くの被収容者が、クリスマスには家に帰れるという、ありきたりな素朴な希望にすがっていたことに求められる、というのだ。クリスマスの季節が近づいても、収容所の新聞はいっこうに元気の出るような記事を載せないので、被収容者たちは一般的な落胆と失望にうちひしがれたのであり、それが抵抗力におよぼす危険な作用が、この時期の大量死となってあらわれたのだ。
この話の中の「クリスマスには家に帰れる」を「6月までにはワクチン接種が行き渡ってコロナが終息する」と置き換えたらどうでしょうか。
もちろん私も、一刻も早くコロナが終息してほしいと願っています。
しかし、「6月までにはワクチン接種が行き渡ってコロナが終息する」という希望にすがっていては、その期待を裏切られたときのショックがかなり大きくなるんじゃないかと思います。
今の状況では、希望を持ちつつも、それにすがらず、冷静に対応していくことが必要だと感じた次第です。
2. 人生の目的を自覚しているか、いないかの違いは大きい
また本書にある次の話。
このふたりの男たちは、ときおり自殺願望を口にするようになっていた。「生きていることにもうなんにも期待がもてない」と、前に挙げた典型的ないい方をしていたのだ。しかしこのふたりには、(中略)生きていれば、未来に彼らを待っているなにかがある、ということを伝えることに成功した。事実ひとりには、外国で父親の帰りを待つ、目に入れても痛くないほど愛している子供がいた。もうひとりを待っていたのは、人ではなく仕事だった。彼は研究者で、あるテーマの本を数巻上梓していたが、まだ完結していなかった。この仕事が彼をまちわびていたのだ。(中略)自分を待っている仕事や愛する人間にたいする責任を自覚した人間は、生きることから降りられない。まさに、自分が「なぜ」存在するかを知っているので、ほとんどあらゆる「どのように」にも耐えられるのだ。
今がどんなにキツイ、苦しい状況でも、「自分を待っている未来がある」、つまり人生の目的を自覚している人は、どんな状況にも耐えられる、と著者は言っています。
- 何のためにビジネスをしているのか?
- 誰のためにビジネスをしているのか?
今こそ、繰り返し自問自答する必要があると感じた次第です。
3. 今の時代は恵まれている
本書は、その大半をナチスの過酷な強制収容所での経験の話にさいています。
単純に今の時代と比較することはもちろんできませんが、当時の人の生死を分ける過酷な状況を知ると、今の時代がいかに恵まれているかが身に沁みます。
この先、どんな困難が待ち受けていたとしても、「『夜と霧』の話に比べれば、ぜんぜん余裕だよね」と冷静に対処できるんじゃないかと思った次第です。
過去に読んだことがある人も、今改めて読むと、また違った示唆が得られると思います。
まだ読んでいなかったら、ぜひ今、手に取ってみてください。
追伸
また、あなたのビジネスに役立ちそうな書籍があったら紹介しますね。
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鉾立 栄一朗
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