物価高・原材料費高、ビジネスへの影響は? 値上げをスムーズに行う方法


 

ここのところ、物価高、原材料費高の影響が各方面に出始めています。

3月に入ってからは円安も加わって、直接的・間接的に輸入品を扱うビジネスにとっては、一段と厳しい環境となりそうです。

その波は、我々のようなスモールビジネスにも着実に迫ってきていると言えるでしょう。

物価高、原材料費高の環境で利益を残すためには、販管費を抑えるような企業努力も必要でしょうが、適正な価格への値上げ(価格転嫁)も重要。

ということで今回は、物価高、原材料費高下において、スムーズに値上げをする方法を考えてみようと思います。

 

物価高、原材料費高の自社への影響を把握する

まず、現在および将来の物価高、原材料費高が、自社のビジネスにどのような影響を及ぼすのか把握することが必要になります。

そのためには、日々のニュースだけでなく、

  • 仕入先
  • 同業他社
  • 業界ニュース

などから、生の情報を収集するようにしたいものです。

例えば、「原材料が不足していて手に入らない」、「〇月からキログラムあたりの単価が変更される」などの情報が得られれば、その情報を想定値として月次の収支計画に落とし込んで、数字として自社への影響を把握します。

 

月次収支計算書のイメージ

 

影響の度合いは、原価率で計ります。

 

原価率(%) = 売上原価 ÷ 売上高 × 100

 

数字上で自社への影響が明らかになれば、値上げを検討します。

「値上げ後の単価」の導き方は次のように計算します。

 

売上原価 ÷ 原価率(%) = 売上高

売上高 ÷ 販売数 = 単価

 

原価率が大きく異なる商品カテゴリーが複数ある場合は、その商品カテゴリーごとに計算します。

 

事前に値上げの予告(お知らせ)をする

なんの前触れもなく、突然値上げをした場合の影響について検討します。

新規客をメインに集客しているビジネスの場合、オンリーワンのビジネスであれば、突然の値上げの影響はさほどないかもしれません。

しかし、通常は競合他社(直接競合、間接競合)とコスパ(価格と価値)を比較されるでしょうから、突然の値上げは客離れにつながる可能性が高まるかもしれません。

では、既存客のリピート中心のビジネスの場合はどうでしょうか。

なんの前触れもない突然の値上げは、お客さんにとって気分の良いものではないかもしれません。

基本的には、値上げを決断したら、値上げの実行までに一定期間をとり、事前に顧客・見込み客に予告(お知らせ)すると良いと思います。

 

値上げの理由をきちんと伝える

値上げの理由がきちんと伝われば、物価高や原材料費高は社会的なニュースにもなっているので、顧客・見込み客から理解が得られる可能性が高まります。

伝える方法には、

  • 対面
  • 店頭での張り紙
  • Webサイト
  • メール
  • SNS

など、そのビジネスによってさまざまなアプローチがあると思います。

「え?値上げしたの? 知らなかった!」とならないように、漏れなく伝えるようにします。

 

顧客満足度の向上を検討する

「物価高・原材料費高のため」というもっともな理由はあるけれど、やはり値上げはお客さんの満足度を下げる可能性があります。

そこで、値上げと同時に、新たな価値を商品に加えることで顧客満足度を高められないか考えると良いと思います。

たとえば、

  • 商品情報の充実
  • アフターサービスの追加
  • 商品保証の追加

などが考えられます。

 

最終的には顧客との関係性が鍵に

値上げは、顧客との関係性が強いほど、

「〇〇さんのところだから、値上げはしょうがないよね」

「ちゃんと利益が出るようにして、(私のために)商売を続けて」

と、受け入れられやすいものです。

普段から顧客とコミュニケーションをとって関係性を強める努力をしている、またはそのような仕組みを持っているビジネスは、比較的スムーズに値上げができるでしょう。

この関係性は、B to Cのビジネスだけでなく、B to Bのビジネスでも、相手が人である以上、基本的には同じです。

 

ちなみに、鉾立榮一朗事務所では、仕入れがほとんどありませんので、今のところ値上げの予定はありません。

が、製造業、建設業のクライアントさんでは、すでに値上げの検討が始まっています。

構造的に仕入原価のあるビジネスでは、早めに値上げの検討をすると良いと思います。

 

追伸

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西荻窪の経営・起業アドバイザー/財産承継コンサルタント。 「経営の原理原則」をテーマに研究を重ね、これまで数多くのクライアント支援から得た経験と、自らの事業活動による実証を加えたノウハウ・ドゥハウを体系化。 企業経営者、特にスモールビジネス・オーナーの転ばぬ先の杖となり、「経営の原理原則を実践する経営者を増やしてハッピーな世の中を創る」ことを使命とする。 また、「借り入れ時に個人保証を求められる中小企業経営者にとっては会社の財産も個人の財産も一体」との現実、「事業承継にまつわる諸問題」などとも向き合いながら、クライアントの財産承継コンサルティングに取り組む。 「経営と財産は両輪」との信念のもと、クライアントの身近な参謀役(アドバイザー)として日々活動している。 家族は妻と息子と猫(キジトラ雄)。中野(自宅)⇄西荻窪(事務所)を行ったり来たり。