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針鼠

 

こんちには、鉾立です。

前回の記事、「起業を「趣味」で終わらせないために真っ先に検討すべきこととは?【PAM理論】™④」では、

  • 「情熱」があって、それを裏付ける「能力」もある。でも、そもそもあなたの商品・サービスを必要とするお客さんたち(=「市場」)がいなければ、単なる「趣味」で終わってしまうということ。
  • 起業が単なる「趣味」で終わるかどうかを判定する簡単なエクササイズ
  • 自分の「市場」を知るための3つの質問

についてお伝えしました。

これまで4回に亘り【PAM理論】™(事業成功の精度を高め、立ち上げた事業を「最短距離」で軌道に乗せるための起業理論)をお伝えしてきましたが、最後に、【PAM理論】™を最大限に活用するためのまとめについてお伝えしたいと思います。

あなたの核になる事業は?【PAM理論】(概念図)

 

そもそもこの理論は、会社設立の相談で弊社に来社されたあるご相談者の話を聞いていて、私が覚えたある「違和感」が出発点となってまとめたもの、ということはすでにお伝えした通りです。

 

では、私自身の起業当初はどうだったのかというと、、

私は2009年の秋に独立・起業しました。

学生時代からもともと独立志向はあったのですが(日大商学部経営学科卒)、本格的に独立を考えたのは、前職の企業再生コンサルティング会社勤務時代でのことでした。

長かった暗黒の資格試験受験時代に終わりを告げ、32歳のときに同社に転職。「手続き業務」ではなく「相談業務」を生業にしたいと思っていた私にとって、メンタル的にハードな仕事ではありましたが、企業再生実務、財産コンサルティング実務、地域金融機関や隣接専門家・実務家とのネットワーク構築といった能力をその会社で身につけることができました。

その後、35歳で独立することになるのですが、正直、自分のライフプランでは独立は40歳頃を予定していました。当時、その会社の社長がおっしゃっていた「7~8年もその仕事をしていればその分野のエキスパートになる」という言葉が強く印象に残っていたからです。

しかし、会社の事情で35歳で独立せざる得ない状況に置かれることに。(詳しい内容はここでは書けませんが、、)

社内・社外に混乱が生じている中での独立でしたので、「自分の情熱の源泉とは?」なんてことをゆっくり考える余裕はありませんでした。

しかも、「市場」についても、「会社の事情」の煽りを受けて、独立後の安定的な顧客紹介元と考えていた取引先金融機関とのパイプが凍結されてしまうことに。

そう、私自身が【PAM理論】™を起業当初から実践できていたわけではなかったのです。

そしてその後、事業を軌道に乗せるまでにかなりの苦労をすることになりました。

だからこそ、人から起業相談を受けたときに、「あ、これは苦労しそうだな、、」と「違和感」を感じてしまうことがあるのですね。

 

ピンチの中で【PAM理論】™の原型を自ら体現する

で、私の話に戻ると、、

このままではマズイと考えた私は、「今、自分ができることは何か?」ということを必死で考えました。

【PAM理論】™で言うところの、現実的な自分の「能力」についての棚卸しです。

当時思いついた「自分ができること」は、以下の通りでした。

  • 行政書士ライセンスを活かした書類作成業務や許認可業務
  • 司法書士・行政書士・土地家屋調査士の合同事務所勤務時代から企業再生コンサルティング会社勤務時代にかけて実務経験とノウハウを蓄積してきた相続・遺言・不動産関連業務
  • 地域金融機関や隣接専門家・実務家とのネットワーク構築

そして「市場」については、当時懇意にしていたある信用金庫の支店長がおっしゃっていた「(相続や事業承継など)財産や経営の問題で困っているお客さんはいくらでもいるよ」という言葉が支えになり、「信用金庫の顧客」市場で勝負しようと決意。

前述の通り、既存の取引先金融機関とのパイプは凍結されてしまっていたため、地元の地域金融機関をリストアップし、自作のニュースレターを配る手法で新たなパイプ作りをスタートさせました。

そうして半年から1年ほどかけて信頼関係を構築していく中で、少しずつ、紹介案件が出てくるようになりました。

「情熱の源泉」についてじっくりと考え始めたのはその頃からです。

事務所のホームページを作りながら「情熱の言語化」に取り組みました。(ちなみに、自社ホームページを作ることは、マーケティング&セールス的に重要なのはさることながら、自分の理念、ミッション、独自資源、強みなどを明らかにする良い機会となります)

起業当初は、正直なところ仕事を選ぶなんて余裕はまったくなく、自分ができる仕事は基本的になんでもやっていました。

が、「情熱の言語化」を行ってみると、「情熱が湧かない仕事はやらなくていい」と思えるようになりました。

典型的なのは、「離婚」や「損害賠償」に関連する業務です。人の「怒り」や「対立」に密接に関連する仕事は私がやる仕事ではないなと。(もちろん、そのようなご相談があった場合はパートナー弁護士などをご紹介しています)

さらに、「情熱が持てる仕事」については、ホームページに「お役立ち情報」や「お客さんの声」を載せるようになりました。すると、今度はホームページ経由でその仕事を依頼したいというお客さんが集まり始めました。

振り返ると、私の場合は、

1.まず自分の「能力」を棚卸し

2.自分がよく知っていて、能力を発揮できる「市場」を選択

3.仕事をこなしていく中で自分の「情熱」に気づく

4.「情熱」が湧くかどうかを判断基準として、「能力」と「市場」を絞り込む

というプロセスを経てきたと言えるでしょう。

軌道に乗るまで3年ほどかかりましたが。(汗)

 

【PAM理論】™の活用のポイント

ここで、【PAM理論】™の活用のポイントをまとめておきたいと思います。

 

1.一貫性

一言で言うと、【PAM理論】™とは、あなたにとっての「情熱」「能力」「市場」の3つの円の重なる部分は何なのか、を突き詰めながら、あなたの核になる事業を導き出す理論です。

これは、「情熱」「能力」「市場」の3つの円を貫く一本の串、すなわち3つの円の一貫性は何なのかを発見する理論、と言い換えることができます。

「情熱」「能力」「市場」について、それぞれ深く掘り下げて考えていくと、人によってはまとまりがつかなくなってしまうこともあるかもしれません。

でも、そこには必ず、一本の串、一貫性があるはずです。

なぜなら、それらはすべてあなたという一人の人間に関する事実であり、思考であるからです。

この一貫性が見出せれば、あなたは自信をもって自分の事業に邁進することができますし、「この人は軸がブレていない」と、顧客・取引先・金融機関など他者からの評価・信頼も高まることでしょう。

ぜひ、この一貫性という視点を持ってあなたの核となる事業を見つけてください。

 

2.最初から3つの円を意識する

ここまでこのブログでは、便宜的に①「情熱」→②「能力」→③「市場」の順番で【PAM理論】™を解説してきましたが、私の例のように、現実的な「能力の棚卸し」からスタートしても構いません。

人によっては、溢れんばかりの「情熱」からスタートする人もいるでしょうし、既に顧客を持っている人は「市場」からスタートするのが賢明かもしれません。

「情熱」、「能力」、「市場」。どれから始めてもいいのです。最終的に3つの円が重なる部分が見つかればいいのです。

ただし、事業はリスクを背負って始めるもの。資金が潤沢で精神的に余裕があるなら別ですが、起業はある意味、時間(資金)との戦いです。

3つの円のどれかの検討が欠けている状態でスタートすると後々苦労します(私のように、、)。場合によっては、「今はまだ機が熟していない」と起業を見送る判断も必要になるかもしれません。

最初から3つの円の重なる部分がカチッと定まっている必要はありませんが、起業の検討を始める段階からこの3つの円を意識することをぜひ心がけてください。

 

3.定期的に見直す

人は、事業の発展を通じて成長するものです。

起業後何年か経つと、当然、あなたのステージも変わっていることでしょう。

起業当初の「情熱」「能力」「市場」はおのずと変化しているはずです。

私の場合は、新規事業を立ち上げる際、必ずこの3つの円を再検討します。

また、人から新たなビジネスの話をいただいた場合に、参入するか否かの判断をする際にもこの3つの円を指針とします。

【PAM理論】™は、起業後も使える理論です。

ぜひ、定期的に見直しをしてこの理論を最大限に活用してください。

 

これからの時代は、ビジネスのあり方が大きく変化していくことが想定されます。

特にテクノロジーの進化によって、人ではなくロボットやコンピューターが行う仕事が増えてくるでしょうし、業界の垣根がなくなったり、業界自体がなくなる、といったこともあるでしょう。

そうなると、今後はより、「その人」を軸にした商品・サービスが求められる時代になると思います。

冒頭の針鼠の写真をイメージしながら、ぜひ、あなただけの3つの円、そしてその3つの円の重なる部分は何なのか、についてじっくりと考えてみてくだい。

※「狐はたくさんのことを知っているが、針鼠はたったひとつ、肝心要の点を知っている」(古代ギリシャの寓話)

 

追伸

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起業・経営アドバイザー/財産コンサルタント 「経営の原理原則」をテーマに研究を重ね、これまで数多くのクライアント支援から得た学びと、自らの事業活動による実証を加えたノウハウ・ドゥハウを体系化。 企業経営者の転ばぬ先の杖となり、「経営の原理原則を実践する経営者を増やしてハッピーな世の中を創る」ことを使命とする。 また、「借り入れ時に個人保証を求められる中小企業経営者にとっては会社の財産も個人の財産も一体」との現実に向き合いながら、再起にかけるクライアントの財産コンサルティングに取り組む。 「経営アドバイザーと財産コンサルティングは両輪である」との信念のもと、クライアントの身近な参謀役(アドバイザー)として日々活動している。