遺言書を法務局で保管してもらう「自筆証書遺言書保管制度」を利用してみた話③【申請編】


 

こんにちは、鉾立です。

2020年7月10日からスタートした、自分で書いた遺言書を法務局で保管してもらう「自筆証書遺言書保管制度」を利用してみた話。

お盆休み中の8月13日に自分の遺言書の保管を法務局に申請してきました。

遺言書を法務局で保管してもらう「自筆証書遺言書保管制度」を利用してみた話①【準備編】
遺言書を法務局で保管してもらう「自筆証書遺言書保管制度」を利用してみた話②【予約編】

当日、どんな感じだったかというと、、

 

1. ⑤法務局にて保管の申請をする

私の場合、管轄が東京法務局・本局だったので、予約した時間に間に合うように地下鉄で九段下の駅へ向かいました。

東京法務局・本局は、九段下駅の6番出口から徒歩でおよそ5分の場所にあります。

 

 

お盆休みかつコロナということもあって、人はガラガラ。
建物に入ってすぐ左側にあるエレベーターに乗って、8階にある申請窓口に向かいました。

そして長い廊下をずんずん歩いていくと、、

 

ありました。

 

 

窓口で「予約していたものです」と名前を伝えて、持参した申請書類を提出。
担当の職員の方がその場でざっと内容をチェックしてくれて、「では手続きしますのでお掛けになってお待ちください」と告げられました。

私以外の申請者では、若い夫婦と、ご年配の親とその娘さんらしき親子の2組が来ていました。

ちなみに、若い夫婦で子供がいない場合、相続人は配偶者のほかに親、親が亡くなっていればきょうだい、きょうだいが亡くなっていれば甥姪が相続人なります。
すると、万が一のときに遺産分割協議が必要になるため、すんなりと配偶者が相続することが難しくなります。

きっと、この夫婦は自分たちで調べたのか、誰かからアドバイスを受けたのでしょう。
「若いのに賢明な夫婦だなあ」と感心してしまいました。

そして待つことおよそ30分。

「お待たせしました。では、3階か4階の印紙売り場で収入印紙3900円分を購入して、またこちらにお戻りください」と告げられました。

指示どおり、エレベーターで4階に降りて収入印紙を購入し、また8階の窓口に戻って印紙を所定の箇所にペタッと貼って、手続きが完了。

無事「保管証」を受け取ったとき、なにか大きな仕事をやり終えたような充実感がありました(笑)。

 

 

2. 申請後の手続きについて

これで、私に万が一のことがあった場合、奥さんは家庭裁判所の検認手続きを行うことなく、私の相続手続きを進めることができるようになりました。

具体的には、遺言書保管所がある法務局で「遺言書情報証明書」を取得し、その証明書を使用して登記や預貯金の解約手続きなどを行うことになります。

なお、

  • 遺言者の住所・氏名・本籍に変更があったとき
  • 受遺者または遺言執行者の住所・氏名に変更があったとき

は、遺言書の保管申請をした法務局で、変更の手続きを行う必要があります。
(変更の手続きがされていない場合、相続人等が遺言書の内容を確認することができないことがあるとのこと。)

また、遺言書の保管申請をした後、遺言書の内容を変更したいときは、保管されている遺言書を撤回し、内容を変更した後の遺言書を改めて保管申請することができます。

私も、不動産を売却したり、息子が成人するなどのタイミングで遺言書の内容を見直そうと思います。

 

3. 遺言書を残すだけでは不完全だということに気づく

さて、手続きが完了してほっとしたのもつかの間。
帰りの電車の中で、あれやこれやと考え始めました。

「そういえば、ネット関係のIDやパスワードもきちんと伝えておかないとなあ」
「やっぱり登記や税務などの専門的な手続きは専門家に依頼してもらった方がいいよなあ」
「まず何をやって、次に何をやって。手続きの優先順位も大事だよなあ」

と、遺言書を残すだけでは不完全だということに気づきました(汗)。

  • 住宅ローンの団体信用生命保険の請求
  • 生命保険金の請求
  • ネット関係のID、パスワードの一覧
  • 登記、税務、社会保険の手続きを依頼する専門家の連絡先
  • 継続課金サービスの解約
  • 事業を誰に引き継ぐのか
  • ブログやSNSの取り扱い etc.

これらの情報を一元化して、奥さんに伝えておかないと、、
まだまだやるべきことがたくさんありそうです。

 

私の場合、仕事(行政書士事務所を経営)で「相続」が身近だったこともあって、この制度が始まってすぐに利用することにしたわけですが、46才にもなると、近しい友人・知人が突然亡くなることにもこれまでの人生で直面してきました。
こういったことも、この制度を利用する後押しになりました。
自分もいつ何があるか分からないですし。

「遺言書?縁起でもない」と放っておいて、残された家族が苦労するか。
「さすがあの人はきちんとしていた」と感謝されるか。

後者の方が絶対良いと思うんですよね。

 

追伸

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西荻窪の経営・起業アドバイザー/財産承継コンサルタント。 「経営の原理原則」をテーマに研究を重ね、これまで数多くのクライアント支援から得た経験と、自らの事業活動による実証を加えたノウハウ・ドゥハウを体系化。 企業経営者、特にスモールビジネス・オーナーの転ばぬ先の杖となり、「経営の原理原則を実践する経営者を増やしてハッピーな世の中を創る」ことを使命とする。 また、「借り入れ時に個人保証を求められる中小企業経営者にとっては会社の財産も個人の財産も一体」との現実、「事業承継にまつわる諸問題」などとも向き合いながら、クライアントの財産承継コンサルティングに取り組む。 「経営と財産は両輪」との信念のもと、クライアントの身近な参謀役(アドバイザー)として日々活動している。 家族は妻と息子と猫(キジトラ雄)。中野(自宅)⇄西荻窪(事務所)を行ったり来たり。