“残念な値上げ”と“納得の値上げ”の事例
物価高、ジワジワと身近で影響が出てきましたね。
世界の主要都市に比べれば日本の物価は安すぎるとは思いますが、長年デフレに浸かっていた分、急激な円安や資源高はこれから我々の消費行動を変えるのに十分なインパクトがありそうです。
今後は企業も、適正な利益を出して存続していくためには値上げが必須。
ところが、世の中には、“残念な値上げ”と“納得の値上げ”があるように思います。
<目次>
“残念な値上げ”の事例
自宅(中野)の近所に、海鮮丼のテイクアウトをやっているお店があって、値段の割になかなか美味しかったので、たまに利用していたんですよね。
ところが最近、なんの前触れもなく3割近く値段が上がっていました。
この値上げの実施は、次の3つの理由から、「残念だなあ」と感じた次第です。
残念な点1
まず、値上げの実施を告げる方法が、店頭の看板の値札の価格を変更しているだけだったこと。
店の前を通りかかったときに、前触れもなく、シレっと看板の値札がいつもの値段から3割近く上がっていて、「えっ?!」と軽く驚きました。
まあまあ人通りのある商店街の路面店なので、一言、
「〇月から値段が変更になります」
「〇月から値段が変更になりました」
といった言葉がないと、値上げを知らずに注文して「えっ」と驚くお客さんが結構いるんじゃないかと思います。
残念な点2
次に、値上げの理由がお客さんに伝わっていないという点。
単に値上げしただけでは、値上げの本当の理由がお客さんに伝わりません。
恐らく、ウクライナ情勢や資源高などの影響でネタの原価が上がっているのは想定できますが、「恐らく」の理由だけでは、なんだか値上げにモヤモヤしてしまいます。
残念な点3
そして、商品の価値がお客さんに伝わっていないという点。
もしかしたら、値上げ前の値段が、もともと安すぎた(利益が出ていなかった)のかもしれません。
まあまあ美味しかったので、ネタにはこだわりがあったのかもしれません。
でも、これもすべて私の憶測。
もし、
「このネタは〇〇産直送のものです」
「注文が入ってから包丁を入れています」
など、商品の価値を高める納得の情報が、価格と一緒に看板に掲載されていたら、私も値上げをスムーズに受け入れていたかもしれません。
これらの3つの理由から、なんとなく、そのお店に自然と足が向かなくなってしまいました。
“納得の値上げ”の事例
ところで、一昨日(9/5)の日経新聞に出ていたユニクロのフリースの値上げ広告、見ましたでしょうか?
その広告では、
- フリースの価格が上がる要因
- ユニクロの理念
- ユニクロのフリースの価値
- 全体の8割の商品の価格は据え置くこと
などについて、新聞一面で伝えていました。
値上げの業績への影響はこれから出てくることになりますが、今年の6月にフリースの値上げを対外的に発表し、消費者の心の準備が出来ていた中で、この広告を打った一連の流れは秀逸だなあと思った次第です。
最近、この“残念な値上げ”と“納得の値上げ”の事例を見て、お客さんに伝えること、そして伝わることの重要性を改めて感じました。
私自身の仕事でも、お客さんにサービスの価値をしっかりと伝えていかないといけないなあ。
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鉾立 栄一朗
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